第24回 奈良 春日若宮おん祭 その2
7月から準備される春日若宮おん祭だが、日程の中心は12月15〜18日の4日間だ。この間、20を超える儀式が行われる。中でも「御渡り式」と呼ばれる華やかなパレードは観衆の注目を集める。
集まった馬と人
2025年12月17日午前11時前。奈良県庁前の広場に到着した。前日はかなりの荒天で開催が危ぶまれていたが、なんとか天気は保った。それでもいつ雨が降るかわからない怪しい雲行きだ。
参集する供奉役の中でも雨合羽を着ている人が多い。高価な衣装を痛めない工夫とはいえ、見えないのは残念だ。行事用の馬装を済ませた50頭の馬と彼らに付き従うスタッフ、さらには観光客もまじり、広場はごった返していた。
聞けば馬は、地元はもとより東海地方を含めた乗馬クラブなど、一円から集めてきたのだそうだ。サラブレッドなどの軽種が中心だが、中間種や和種、中には重種がかった馬もいる。基本は人を乗せて暴れなければ、OKなのだろうが、ともかくおとなしい馬が多い。
言い方はなんだが、「ボーッとしている」ぐらいがこういった行列には向いている。

雨を恐れて合羽を着て行事に参加する人も。

中間種を含め、いろいろな馬が集まっていた。
風流(ふりゅう)の行列
行列に加わる人々は総勢1000人にもなる。なぜこの規模になったのかというと、基本の行列に、時代を経るごとに奉納する風俗が加わったためである。行列の種類だけで一番から十二番ある(明治期以降のものを除く)。時代順に並ぶため、平安時代から江戸時代に至る風俗が見られる。まるで絵巻物を見るような華やかな行列だ。
11時半、役を演じる各スタッフが集まり、与えられた供奉役ごとに、出発前に行列の準備が整ったことを確認する儀式「試しの儀」が行われる。
第一番の日使(ひのつかい)、第二番の巫女(みこ)に始まり、十二番の大名行列まで延々と意匠を凝らした華やかな風流(ふりゅう。時の風俗)の行列が続く。競馬(馬祭事によくある「くらべうま」ではなく、ここでは「けいば」と呼ぶ)は第七番となる 一行は、県庁前広場から御旅所まで約2kmの道のりを粛々と進む。行列は約1時間をかけて中心部を練り歩き、春日大社の一の鳥居に到着する。

出発前の儀式「試しの儀」の様子。

行列の第一番「日使(ひのつかい)」。関白の格式を表す。

行列の第二番「巫女(みこ)」の一人「拝殿八乙女(はいでんのやおとめ)」。

野太刀(のだち)は5.5mもある長い太刀。行列の第十番。