第24回 奈良 春日若宮おん祭 その3
行事の中でも競馬は見せ場の一つだ。2頭の馬が春日大社の表参道で勝敗を競う。埒外には多くの観光客が陣取り、その模様を見つめている。
参道の直線
行列が広場を出た後は、先回りして御旅所前の春日大社の表参道に向かった。すでに埒で仕切られた両サイドはカメラを手にした人であふれている。
13時半。予定通り一行が姿を現した。一番から六番までの行列は、粛々と進む。ここで間が取られ、参道の直線、「馬出(まだし)の橋」から「勝敗の榊(さかき)」までの200mほどが誰もいない状態になる。いよいよ競馬が始まる。
競馬に参加する騎馬は全部で6頭。騎手はそれぞれ赤と緑の平安時代の装束を着ている。特にサラブレッドの2頭は、これからやることがわかるのか、他の馬より少々うるさい。

「試しの儀」を行う第七番「競馬(けいば)」の一行。

競馬に参加する馬(サラブレッド)と乗り手。
馬場となる春日神社の表参道。
競馬の結果
1回に走るのは2頭。計3回行われる。「三双」と呼ばれる。昔は五双だったという。なぜ奇数なのかというと、勝負をつけるためだ。御旅所で行われる2曲の舞楽の順番がその結果で決まる。左方(緑)が勝てば「蘭陵王(らんりょうおう)」が、右方(赤)が勝てば「納曽利(なそり)」が先となる。
競馬といっても直線は短く、キャンターで駆け抜ける感じだ。それなりに後先は争っていたが、あくまで儀式としてのレースという印象。3レースなのであっという間だが、観客からは拍手が飛ぶ。それなりに盛り上がる。
江戸時代に描かれた「春日大宮若宮御祭礼図」という絵がパンフレットに載っている。その競馬の描写を見ると、鞭を振るって進路を妨害し、結構やりあっている。落馬している者もいる。往時はかなり激しいレースだったかもしれない。
競馬が終わると、一行は御旅所に到着。そこで神楽や和楽の奉納が始まり、夜10時過ぎまで神事芸能が続く。春日若宮おん祭の全体からすれば、競馬はほんの一瞬の儀式だが、神に捧げる重要な行事でもある。暮れの奈良を駆け抜ける馬たちにエールを送りたい。
左方、右方に分かれ、勝敗を争う。

両サイドは観衆でびっしり。

役目を終えた一行。安堵の色が見える。