第24回 奈良 春日若宮おん祭 その1
奈良の中心部、春日大社へと続く場所で、毎年12月中旬に行われるのが、「春日若宮おん祭」だ。1000人規模の人々が参加する奈良を代表する祭礼だが、参加する馬も50頭と関西最大の馬祭事でもある。どんなお祭りなのだろうか?
由緒ある神事芸能
若宮は数ある春日大社の摂社(本社と関連深い神様が祀られた神社)の中でも格式の高い神社だ。平安時代の1135年に創建された。例祭となる「おん祭」は、1136年、時の関白・藤原忠通が天下泰平・五穀豊穣などを願って、大和(今の奈良地方)一国を挙げて執り行ったのが起源といわれる。これまで基本的には一度も絶えることなく、2025年が890回目にあたるというのだから、日本屈指の伝統行事だ。
基本としては、若宮の神様が本殿を離れ、興福寺近くの「御旅所(おたびしょ)」と呼ばれる仮の御座所まで旅をしながら、人々を加護するというストーリーになっている。人々は神様をもてなすため、御旅所に詣で、神楽や田楽、和楽などの芸能を披露する。ここで披露される芸能の数々は「春日若宮おん祭の神事芸能」として、1979年、国の重要無形文化財に指定されている。
春日大社の鳥居をくぐる馬たち。

街中を通って参集場所となる興福寺旧境内(現在の奈良県庁前広場)へと向かう。
行列する供奉
一般には御神霊が供奉(お供)を従えて御旅所の行宮(本来の宮殿を離れて旅先や仮の地に滞在する際に設ける一時的な御座所のこと)へ還られることを「御渡り」というが、ここではすでに行宮に還られた若宮様のもとへ、芸能者の一団や祭礼に加わる人々が社参する列のことを指し、その行事を「御渡り式」と呼ぶ。
行列といっても、参加人数約1000人、約50頭の馬が出る。馬祭事としても破格の規模だ。特に重要な供奉役を演じる人々は騎馬が前提となるため、これだけの馬が参加する。出発地となる興福寺旧境内(現在の奈良県庁前広場)は、時間になると人と馬で埋まる。
慣れたスタッフが衣装のまま騎乗し、下乗りしていた。

馬と人が集まる興福寺旧境内(現在の奈良県庁前広場)。