TAW Thoroughbred Aftercare and Welfare

第23回 京都 宇治市・県神社 大幣神事 その3

一ノ坂付近で、再び行列は止まる。騎馬神人が前に出て「馬馳せの儀」が始まる。スタッフからゴーのサインが出ると神馬は走り出す。

駆け上がる神馬

一ノ坂では大幣ら行列が傍に陣取り、騎馬神人が前へと進みでる。あれだけおとなしかった馬も何かを察したのか、少々うるさくなってきた。

「準備が整いました。馬、出てください」

合図が送られると、手綱が離され、キャンターで馬が駆けていく。下がコンクリートなので、すべって走りづらそうだ。

「あっ!」

そう思った瞬間に、横にひかれた白線の前で、馬が小さくジャンプして飛び越えて行った。元競技馬なので障害物を飛ぶ感覚だったのだろうか? それでも乗り手はバランスを崩すことなくやり過ごし、坂を200mほど駆け上がった。そこまでいくと、折り返してダグを踏んで戻ってくる。沿道から盛んに拍手が送られる。馬も人も誇らしげだ。これを、都合3往復半繰り返し、行き来は7回となる(最後、戻ってくるのはカウントしない)。

「これを玄関に飾るとお祓いになるのよ」

そういって馬馳せの儀が終わったあと、近所の人たちが騎馬神人の幣帽から道路に落ちた紙垂を拾っていた。こんな光景も街に根付いたお祭りならではだろう。

スタート。坂へ向かって疾走する騎馬神人。

白線を障害物よろしく飛び越えた。

一気に坂を駆け上がっていく。

坂を登り切ると、スタート位置までダグで戻る。これも1回にカウント。

地域信仰と古代祭祀

馬馳せの儀が終わると、再び列を組み、一行は狭い路地に入っていく。完全に生活道だ。観光客も少なくなり、かわって玄関先に住民が出てきて行列を見守る。

こうして自分たちの生活圏をくまなく巡行し、一行は再び県神社の大幣殿に戻ってきた。ここで幣は地面に叩きつけられ、壊される。掛け声とともに、力者たちが幣を引きずって、宇治川へと続く道を駆け抜ける。しばらく間をおいて、馬がそのあとを追いかけてくる。あっという間の出来事だった。

幣は宇治川にかかる宇治橋のたもとから川に投げ捨てられるという話だったが、慌てて行った時にはすでにかげも形もなかった。馬の写真を優先した結果なのでいかんともし難い。

大幣神事は、宇治に住む有志によって組織される「大幣座」によって運営されるという。地域信仰に根差しながらも、古代日本の祭祀を今に伝える、貴重な神事であることに感銘を受けた。

生活道を進む行列。

壊された幣を川へと運ぶ力者たち。

力者を追って駆けてきた騎馬神人。

幣が投げ入れられた宇治川。時すでに遅し、で儀式は終わっていた。

多くの人たちが見守る中、全ての神事を終えて神社に戻る人馬。