TAW Thoroughbred Aftercare and Welfare

第23回 京都 宇治市・県神社 大幣神事 その2

大幣と神馬を中心にした行列は、神社を出て市内の中心街へと向かう。沿道で地元住民や観光客がその様子を見守る。街中の災い、悪疫を幣に引きつけつつ、その退散除去を祈願していく。

馬の役割

6月8日午前10時、県神社に到着。大幣神事開始の時刻にギリギリ間に合った。馬はすでに馬装を終え、神社の境内にたたずんでいた。引退競走馬だが、大学馬術部で競技馬として活躍していたとのこと。今回初めての参加となるが、びっくりするほどおとなしい。境内は関係者と観光客ですでに100人近くがいるが、動じるところはなく、静かにスタッフに付き従っている。

乗り手が白装束で現れた。この神事では神馬とともに「騎馬神人(きばしんじん)」または「御方(みかたしろ)」と呼ばれる。「幣帽」と呼ばれる紙垂(「しで」。特殊な形に切った白い紙)をたくさんつけた独特の帽子をかぶっている。馬は動揺することもなく、素直に騎乗することを許した。

境内にある大幣殿から祝詞(のりと)が聞こえてきた。儀式がスタートしたようだ。奏上される祝詞は延喜式にある道饗祭のそれと完全に一致しており、起源の根拠となっている。祝詞が終わり、行列が組まれる。

独特の衣装で騎乗する乗り手。神馬とともに騎馬神人となる。

大幣殿前で祝詞を受ける関係者。

祝詞が終わるや、行列が組まれる。

旗を先頭に行列は街中を進む。

特別な御幣

行列は、県神社を出て約400m先の「宇治橋西詰」まで進む。沿道には地元住民と観光客がずらりと並んでいる。

「幣」とは「御幣」とも呼ばれる神具で、木や竹などにたくさんの紙垂を付けたもの。神の依代としたり、お祓いに使われたりする。大幣神事で使われる御幣には、先端に三つの傘が付けられており、「傘御幣」とも呼ばれる。串の長さだけで約3m60cmもある。結構な重量になると思われるが、それを「力者(りきしゃ)」と呼ばれるスタッフが、数人がかりで運ぶ。その後に少し距離を空けて騎馬が続いた。

宇治橋西詰は、四方向の道が交差する場所で、すでに交通規制が敷かれている。この場所で、行列は一旦停止し、大幣に対してあらためて祝詞が奏上される。

外国の旅行者たちが不思議そうな面持ちで、携帯をかざしその模様を撮影している。彼らの目にはどんな行事に見えているのだろうか?

祝詞が終わると元の順番で行列が移動していく。次に目指すは「一ノ坂」。メインイベントとなる「馬馳せの儀」が行われる。

傘をつけた大幣は「傘御幣」とも呼ばれる。

大幣に続き、少し距離を空けて騎馬神人が続く。

宇治橋西詰では再び祝詞が奏上される。