TAW Thoroughbred Aftercare and Welfare

第23回 京都 宇治市・県神社 大幣神事 その1

古都・京都の南の玄関に当たる宇治市には、平安時代から続くという宮中行事を反映した神事がある。巨大な幣を担いで街を巡る「大幣神事」だ。地元に根差しながらも古代の秘法を今に伝えている。どんな祭りなのだろうか?

世界遺産を守る神社

京都宇治市といえば、宇治茶と世界遺産「平等院鳳凰堂」が有名だが、その裏手にこじんまりとした神社がある。県(あがた)神社という。いかにも地元の社(やしろ)といった風情だが、実は平等院の総鎮守(鎮守は「その地を鎮め、守る神様」)になっている由緒正しい神社だ。

祭神は木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)。天孫の妃となった神様で、その縁で女人保護・安産祈願の神社としても名高い。文献によれば、平安時代にはすでにこの地にあったと記されているが、おそらくはそれ以前、古代より何らかの縁起があったといわれる。

平安時代の1052年、時の関白・藤原頼通(ふじわらのよりみち)の平等院建立に伴い、総鎮守となり、以来、藤原氏の庇護の下に置かれた。

そんな県神社の重要な祭礼の一つが宇治市の無形文化財にも指定されている「大幣神事」だ。

平等院の総鎮守、県神社。地元の古社といった趣だ。

県神社の本殿前。祭礼前の静けさが漂う。

宮中行事に由来する神事

大幣神事は、藤原頼通が宇治で政務を取るようになってから始まったといわれる。1000年近い伝統があるはずだが、元はさらに古い。927年に出された延喜式(平安時代の律令の法典。宮中での儀礼や祭祀などの記述もある)にある「道饗祭(みちあえのまつり)」にその起源がある。この祭儀は「諸々の災いや疫病が土地に入らないように祈る」もので、その際に疫病を流行らせる悪神に食べ物を饗して、土地に入るのを防いだことから道饗祭と呼ばれた。

大幣神事は、宇治の街(宇治郷)の災いや悪疫を大幣に集め、これを宇治川に流すことで、それらを退散除去させることを目的に行われる。そして大幣と並んで重要な役割を果たすのが馬、すなわち神馬(しんめ)だった。

境内の大幣殿に安置された大幣。

馬も到着。スタッフとともに境内で出番を待つ。