TAW Thoroughbred Aftercare and Welfare

第22回 兵庫 神戸市・摩耶山天上寺 摩耶詣祭 その2

摩耶詣祭では、厄払いを終えた馬が摩耶山天上寺近くの掬星台まで、関係者や参拝客を従え、パレードする。馬祭事としてはこれがメインとなる。馬とともに山中をゆっくり行列する姿は、うららかな春の日を感じさせる。

土産は昆布

午前10時半、摩耶山天上寺の本堂前で馬の厄払いの儀式が始まった。無病息災を祈念する読経が流れ、菜の花で作った花かんざしが馬たちに授けられる。

その昔は厄払いを終えた馬と家族は護符と花かんざしをもらい、摩耶昆布を土産にして、摩耶山を下ったという。

なぜ、山上の寺で昆布かというと、瀬戸内海を通る船と関係がある。船の関係者は同寺の十一面観音像を、海上安全の守り本尊としていたからだ。船が摩耶山近くの海を通るときは、こぞって帆を下げ、航海の安全を海から祈願したという。また、無事を祈って海産物を奉納する習わしもあった。寺院では海産物の中から長寿の縁起物である昆布を参拝客におすそ分けした。海が一望できる摩耶山天上寺だからこその縁起なのだろう。

摩耶山天上寺近くの掬星台からは神戸港が見下ろせる。

摩耶詣祭では馬たちが参拝に訪れる模様も披露される。

馬とともに行列は進む

六甲山牧場から参加した馬2頭は、1頭は木曽馬でもう一頭がミニチュアホース。前者には先ほど授けられた花かんざしが、後者には菜の花の束がつけられている。この辺りは菜の花が多く、春を象徴する花として神聖視されている。

彼らは詣馬(もうでうま)と呼ばれる。僧侶や巫女とともに参拝客や観光客を引き連れ、1kmほど先の掬星台までゆっくりと歩いていく。

先頭の僧侶が現れた。山伏、巫女と続き、そのあとに花で装飾された2頭の馬がいる。鞍下からわずかに昆布が垂れているのが見える。ただ周りを観光客に囲まれ、馬の姿はあまりよく見えない。特にミニチュアホースは体高も100cm程度で人混みに紛れてしまう。位置を変え、2頭が見えるアングルを探し、なんとか画角に収めた。2頭とも騒がしいこの状況に全く動じず、おとなしく引かれるままに歩いている。

参拝を終えた馬たちは、僧や巫女、参拝客らと一緒に掬星台に向かう。

ミニチュアホースの背には菜の花の束が揺れている。

桃の花で飾られた木曽馬。