TAW Thoroughbred Aftercare and Welfare

第9回 沖縄県沖縄市・琉球競馬 ンマハラシー その4

沖縄本島で復活した琉球競馬。30頭の馬による1回戦15レースが終わり、2回戦が始まる。独特の雰囲気が会場を包む。

独特の光景

2回戦が始まった。1回戦を勝ち上がったジーンズにテンガロンハットの男性騎手が登場。民俗衣装が出場の絶対条件というわけではないようだ。場の雰囲気には馴染まないがこれもパフォーマンスか。しっかりと速歩を保ち、よれることなく一直線に進む。対戦相手は小学校高学年の女の子。沖縄の民俗衣装に身を包み、こちらも負けてはいない。一度も駆けさせることなく、速歩のまま同時にゴール。こうなれば中年の男性は見た目にも不利だ。苦笑しながら3人の審判は小学生の女の子に旗をあげる。

速さだけを競う大会なら、小学生と中年男性が争うような草競馬は珍しい。クラスが分けられてしまうからだ。速歩レース独特の光景かもしれない。

対照的な2頭のレース。

審判員も、苦笑しつつ小学生騎手に旗をあげる。

民俗衣装をバッチリ決めた乗り手。独特の出で立ちが、美を競う琉球競馬にはふさわしい。

賞品より名誉

3回戦を経て馬は8頭にしぼられた。ここでこの大会ならではのアクシデント。

「船の時間が迫ってきたので伊江島のチームはここで引き上げます」

さびしいアナウンス。何頭か有力な馬も勝ち残っていたので残念だ。それにしても誰も慌てている人がいない。このゆるさが心地いい。

前回の優勝馬、前々回の優勝馬が次々と脱落し、決勝は初の対戦となった。くだんの久米島からの馬も勝ち上がってきた。乗り手の技量からすると、側対歩が出せるこの馬が有利だが、相手の何かを掛け合わせたポニーも130cm以上でひとまわり大きい。一完歩の距離に相当差がある。乗り手も若い女性で知花織の絣がなかなか決まっている。

スタートから折り返しまでは五分。馬も決勝戦とわかるのか、スタート直前は興奮気味。それをなだめつつ馬を出したせいか、レース前半は両馬とも少しよれた。後半は速歩vs側対歩となったが、やはり完歩の大きい馬のほうが有利。じりじりと差を広げて先着した。

表彰式。勝った方はもちろんだが、負けた方も笑顔。

優勝者には表彰状と知花織のタオル。実は往時もそれだけだった。賞品より名誉という大会なのだ。これからもこのユニークな競馬は続いていくことだろう。

決勝レース。どちらも見事な速歩で、審判も判定が難しそうだった。

表彰式の様子。観客から人馬に拍手が送られる。