第2回 京都府京都市・上賀茂神社 白馬奏覧神事 その2
二の鳥居から細殿を通り、本殿の正門へと向かう神馬一行。さらに奥へと進みながら、白馬奉覧神事はクライマックスを迎える。
いよいよ本殿へ
上賀茂神社本殿の正門・桜門から塀を右へと回り込み、祈祷殿を横目にしながら短い階段をのぼると新宮社前に出る。社の対面に、本殿へ右側から入る門とちょっとした広場がある。ここでいったん待機。門の正面からは、本殿の様子を横から見る形になる。
「あぶないので神馬からは離れてください」
2〜3mの間隔をあけ、参拝客が神馬を取り囲む。時折、本殿からは神事の手順についてのアナウンスが流れてくる。
「ご低頭ください」
声に促されてみんな頭を下げる。本殿では祈祷が行われているようだが、中の様子はうかがいしれない。
待つこと20分弱。屋根から落ちる雪解け水の滴りと遠くから聞こえる祝詞の音が入り交じる。緊張した空気があたりを包む。冷気に包まれ、自分の身も浄められていくようだ。
列が動き出した。神馬が門をくぐって本殿へと進む。5mぐらい先に縄ひもがはられていた。
「これより先へは一般の方は入れません。儀式はここから見てください」
声をかけられ、一堂、そこで立ち止まる。
祈祷殿を横目にしながら短い階段をのぼる。
新宮社前の門をくぐって本殿へ。
大豆の意味
儀式は5m先で行われていた。本殿前の供物の中から何かが馬に与えられている。参拝客の頭越しということもあり、自分の位置からは何かはわからない。
神主さんが説明してくれた。
「大豆を馬に食べさせています。神前に供覧した大豆を馬に与えることがこの神事の中心なんです」
なぜ、大豆なのだろう?
神主さんの説明が続く。
「鬼は白くて丸くて硬いものを嫌う。だから大豆です。また陰陽道では馬は陽で春の気。大豆は陰なので春の気が陰のものを滅することで春の訪れを願う。そんな意味が込められているのです」
儀式を終えた六代目神山号。大豆を食べて満足気だ。意気揚々と元来た道を引き返す。本殿右の門を出て塀の外から桜門へ。帰りは玉橋を渡ることなく、塀を右に見ながら御手洗川を渡る。細殿裏手から左を回り再び正面へ。二の鳥居をくぐって拝礼。儀式を終え、無事神馬舎にもどった。
神馬舎の正面からいつものように頭を出すと、たちまち人が群がる。儀式を追って一回りした一団とは別の人たちだ。馬を拝んだり、写真を撮ったりしている。六代目神山号はせわしなく耳を動かし、頭を上下に振っている。神事より、神馬舎で人々に囲まれる方がフラストレーションがたまるのだろうか? それともこれがこの馬にとってのリラックスした状態なのだろうか?
神殿に供覧された豆を食べる神馬。
役目を終え、神馬舎へと帰る。