第20回 埼玉・東松山市 上岡馬頭観音 その5
観音堂前にやってきた一行。馬頭観音像の前で、僧侶の読経が始まる。境内に集まった多くの参拝客も一行と一緒に聞き入っている。やがて馬たちは観音堂前に集まり、僧侶から回向を受ける。頭を下げて参拝する姿が愛らしい。
厳かな時間
一行は参道の中央から馬頭観音像前へと進む。大勢の参拝客が取り囲む中、回向のための読経が始まる。境内に僧侶の声が静かに流れる。人馬とも首を垂れ、神妙に聞き入っているように見える。「馬の耳に念仏」ともいうが、彼らにも届いていることだろう。
やがて読経が終わり、一行は観音堂の前にやってきた。今度は神馬に対する読経が行われる。時折シャッター音も響くが、不思議と気にならない。厳かな宗教儀式ではあるが、ゆったりとした時間の流れがそこにある。馬と人が同じ場所で同時に回向を受ける仏事は全国的にも珍しい。

本堂から観音堂にやってきた「御練り歩き」の一行。

参拝客が待つ中、馬たちが境内に入ってきた。

境内にある馬頭観音像の前で仏事が行われた。

神妙に観音堂の前で読経を聞く馬たち。
確かな馬文化
役目を終えた白馬は、馬頭観音像の脇にある神馬舎へと入った。スタッフが馬装をときだすと、今まであれだけ静かにしていた白馬が頭をふってうるさい仕草を見せ始める。
「仕事は終わったんだから、早く解放して」
といわんばかりだ。
気がつけば神馬舎の前には馬にあげるためのニンジンを持った参拝客が大勢いた。お目当てはこれのようだ。馬装をとかれた白馬は次から次へと差し出されるニンジンをほおばった。
ひと通り神馬が関わるパートは終わったが、観音堂の中からは読経の声が響いている。仏事自体はいまだ続いているようだ。
馬頭観音を介した馬と人の確かな文化は今もこの地に根付いている。この先も続いていくことを願ってやまない。
仏事を終え、神馬舎に戻ってきた神馬。参拝客の列ができる。
馬装をとかれ、神馬役を無事に終え、リラックスする「ユキンコ」。

これからも上岡馬頭観音のお祭りは続いていくだろう。