第20回 埼玉・東松山市 上岡馬頭観音 その2
馬たちが続々と境内に集まり、観音堂の周りを一列になって進む。「馬の観音参り」と呼ばれる。観音様の功徳にあやかるための仏事だ。馬も人も敬虔な面持ちで、淡々と歩いていく。その模様を「ウマのお坊さん」と呼ばれる一人の僧侶が見守っている。
ウマのお坊さん
絵馬やだるまといった縁起物に人が集まり、屋台なども並ぶ様を見て、正直、ここまで規模の大きな行事だとは思わなかった。もっとこじんまりしたものを想像していた。
「その昔は近隣の人たちだけでなく、競馬関係者など、バスを連ねて遠くから大勢人が来ていたんですよ」
このお祭りを紹介してくれた國分二朗氏が語る。妙安寺で直歳(「しっすい」。寺や什器の管理などの役務を行う僧)を務める人物で、裏方として今日の仏事を仕切っている。
実はもともと競馬関係者でもある。
かつてドリームファームという外厩が美浦にあり、二ノ宮敬宇厩舎の馬を預かっていた。エルコンドルパサーやナカヤマフェスタもここでトレーニングされた。國分氏はそこの場長だった。
今は、僧侶として修行に励みながら、馬や馬関係者を供養しつつ、ホースセラピーなどの活動にも参加している。「ウマのお坊さん」としても有名だ。

「ウマのお坊さん」こと國分氏と記念写真(左は筆者)。

裏方として仏事を仕切る國分氏(写真中央)。
馬の観音参り
境内に十数頭の馬たちが入ってきた。主には中間種やポニーだ。比較的おとなしい。
付近にある、外乗中心の乗馬クラブの馬たちだそうだ。
「馬たちは、観音様の功徳にあやかるため、これからお堂を巡ります」
國分氏が説明してくれた。
馬たちを追いかけ、お堂の裏に回る。参拝客がいろいろな場所からカメラを向けているが、特にそれが関係者に止められる様子はない。宗教儀式だが、ピリピリした感じがなくて心地よい。
ひと通り「馬の観音参り」が済むと馬たちは一旦引き上げていく。11時からは「御練り歩き」という馬と僧侶が一緒になって本堂から観音堂まで進む仏事が行われる。

付近の乗馬クラブから十数頭の馬がやってきた。

お堂の裏へと周り、そこでUターンして戻ってくる。